人事労務ニュース
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文書作成日:2025/12/23

改めて確認したい休憩時間の基礎知識

 労働基準法では、労働時間が6時間を超える場合に少なくとも45分、8時間を超える場合に少なくとも60分の休憩時間を与えなければならないと規定しています。そのため、労働基準監督署が事業所の調査を行うときには、この法定の休憩時間を与えているかの確認が行われ、与えていないときは是正勧告が行われることがあります。そこで、改めて休憩時間について確認します。

[1]休憩時間の与え方
 休憩時間は労働時間の途中に与えなければならないとされていますが、その休憩時間数について、一括して与えなければならないといった定めはありません。そのため、例えば60分の休憩を45分と15分に分けたり、午前に10分、お昼に40分、午後に10分といったように3回与えたとしても差し支えありません。一方で、休憩時間は食事の時間や疲労の回復を目的としているため、過度に細かく分断された休憩ではその目的を達成することができません。タイミングや時間数の設定について検討する必要があるでしょう。また確実に休憩時間を確保できるようにすることも重要です。

 なお、所定労働時間が6時間で、時間外労働が発生しないときには、法定の休憩時間を与える必要はありません。ただし、6時間を継続して勤務することで、疲労が蓄積し、空腹になり、生産性が低下することが容易に想像できます。法定では休憩時間が不要となっていますが、例えば15分程度の休憩時間を与えることで軽食を摂ることなどにより、疲労の回復につながると考えられます。

[2]休憩時間の確保
 所定労働時間が8時間の場合、昼の休憩時間を45分としておき、所定労働時間を超えるタイミングで15分の休憩を与えてから時間外労働をさせることがあります。実態では、従業員がこの15分の休憩を取れていないという状況がしばしば見受けられます。休憩時刻の開始および終了時に、チャイムを鳴らす等により確実に休憩を取ることができるようにするか、休憩を取ることが難しいようであれば始業・終業時刻の見直しを行い、昼の休憩時間を45分から60分に変更するという対応を考える必要があります。

 労働時間の管理では時間外労働に注目が集まりますが、休憩時間についてのトラブルも少なくありません。また休憩時間が取れず、その時間に労働していたとすれば、その賃金不払いという問題にもつながってきます。この機会に休憩時間が確保されているか点検し、問題があればその改善に向けて検討しましょう。

■参考リンク
厚生労働省「休憩時間は法律で決まっていますか。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。




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基本給、外的報酬、きまって支給する給与、休業補償、降格降職、拘束時間、コミッション制、雇用安定資金を執筆
東洋経済新報社


第2章「労働時間性」〜
第6章「年次有給休暇」を執筆
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第5講「労働条件 賃金・労働時間」を執筆
第1講「序論 社会保険労務士とは」を共著
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特集1「時間外労働の上限規制」を執筆
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