会話形式で楽しく学ぶ人事労務管理の基礎講座
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文書作成日:2025/04/10
出張旅費規程を見直す際のポイント

従業員から、首都圏を中心にホテルの宿泊費が高騰しており、出張旅費規程で定められた宿泊費では手配することが難しいという相談を受けた。そこで、その対応について社労士に相談することにした。

 先日、従業員から、出張でビジネスホテルを手配する際、出張旅費規程で定められた宿泊費の範囲で手配することが難しく、上限内の交通の便の悪い場所にあるホテルか、上限との差額が持ち出しになるホテルかを手配しているという相談がありました。インバウンドの増加等の影響から、宿泊費が高騰している影響が出ているようです。

 そうですね。首都圏や観光地を中心に宿泊費の相場が高くなっており、宿泊費の見直しをする企業が増加しています。

 当社ではしばらく出張旅費規程を見直していなかったため、この機会に見直しをしたいと思っています。

 まず、宿泊費について、今月(2025年4月)から国家公務員の出張時に支給される宿泊費の上限が変更され、課長級以下の場合は、下表のようになりました。

表 課長級以下の都道府県別の上限金額

上限金額 都道府県
8,000円  福島、鳥取、山口
9,000円  岩手、石川、静岡、三重、島根
10,000円  宮城、山形、栃木、群馬、福井、岡山、徳島、愛媛
11,000円  青森、秋田、茨城、富山、長野、愛知、滋賀、奈良、和歌山、高知、佐賀、長崎、大分、沖縄
12,000円  山梨、兵庫、宮崎、鹿児島
13,000円  北海道、岐阜、大阪、広島
14,000円  熊本
15,000円   香川
16,000円   神奈川、新潟
17,000円   千葉
18,000円   福岡
19,000円   埼玉、東京、京都

 かなり細かく分かれており、最高額は19,000円なのですね。

 あくまで国家公務員の例になりますが、上限金額やエリアの設定などにおいて参考になると思います。

 そうですね。エリアについては、首都圏、大阪、それ以外の3つに分けていましたので、どうするかも含めて考えたいと思います。

 日当についても、どうしたらよいか、いつも悩んでいるところです。

 この点についてはなぜ日当を支払うのか、その目的を整理するが必要でしょう。

 日当を支払う目的ですか。例えば、出張に行った際の昼食代であったり、宿泊した場合の夕食代であったり、いろいろな費用がかかりその補填のためと考えています。

 この点、国家公務員の日当は、昼食代を除くものにして、宿泊を伴う場合のみに支給する宿泊手当に変更されました。宿泊手当は2,400円です。

 国家公務員についても、支給する目的を整理して検討し、金額の見直しを行ったということですね。主に出張の対象となる営業の部長も交えて、社内で検討したいと思います。

 議論の中で、困ったことが出てきましたら、ご相談ください。

>>次回に続く



 今回は、出張旅費規程をとり上げましたが、就業規則(本則)についても、法改正の対応だけでなく、定期的に見直しを行うことが望まれます。主なポイントは以下のとおりです。

  • 規定と実態が合っているか。合っていない場合は、合わせる。
  • 時流に合っているか。例えば服務規律に定めている内容は、昨今の社会情勢にあった内容になっているか。
  • 就業規則(正社員就業規則、パートタイム就業規則等)は、すべての従業員を網羅しているか。

■参考リンク
e-Gov「国家公務員等の旅費支給規程

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。




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基本給、外的報酬、きまって支給する給与、休業補償、降格降職、拘束時間、コミッション制、雇用安定資金を執筆
東洋経済新報社


第2章「労働時間性」〜
第6章「年次有給休暇」を執筆
労働調査会

労働・社会保障実務講義
第5講「労働条件 賃金・労働時間」を執筆
第1講「序論 社会保険労務士とは」を共著
早稲田大学出版部

SR第50号
特集1「時間外労働の上限規制」を執筆
社労士専門誌「SR第50号」(日本法令)

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巻頭「労働基準法改正と働き方改革」を執筆
社労士専門誌「SR第48号」(日本法令)

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