人事労務ニュース
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文書作成日:2025/04/29

給与が「〇〇pay」等のデジタルで受け取れるようになる賃金のデジタル払い

 2025年4月4日に、〇〇payといったデジタル払いで受け取れる「賃金のデジタル払い(給与のデジタル払い)」が認められる資金移動業者として、4つ目の業者が厚生労働省の指定を受けました。これで、以前から厚生労働省に対し申請を行っていたすべての業者が指定を受けたことになります。これにより今後、賃金のデジタル払いの普及が予想されますので、その概要についてとり上げます。

[1]賃金のデジタル払いとは
 会社が従業員に支払う給与は「通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と労働基準法で規定されています。その例外として、従業員から個別に同意を得て、従業員が指定する本人名義の預貯金口座や証券総合口座に振り込むことが認められています。
 2023年4月よりこれに加えて、会社が従業員の同意を得た場合に、一定の要件を満たすものとして厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の口座への資金移動による賃金の支払い(賃金のデジタル払い)が可能となりました。2025年4月4日時点で、厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者は、PayPay株式会社(PayPay給与受取)、株式会社リクルートMUFGビジネス(COIN+(スタンダード))、楽天Edy株式会社(楽天ペイ給与受取)、auペイメント株式会社(au PAY 給与受取)の4社です。

[2]必要な手続き
 賃金のデジタル払いを行うためには、以下の6つの手続きがあります。

  1. 指定資金移動業者の確認
  2. 導入する指定資金移動業者のサービスの検討
  3. 労使協定の締結等
  4. 従業員への説明
  5. 従業員の個別の同意取得
  6. 賃金支払いの事務処理の確認・実施

 4.と5.については、賃金のデジタル払いを希望する従業員に対して、賃金のデジタル払いに関する必要事項を説明した上で、個別に同意を取ります。説明の際には、賃金の支払い方法に関する他の選択肢(現金、預貯金口座への振り込みまたは証券総合口座への払い込み)もあわせて提示することになっています。従業員の同意取得については、同意を得る際に、賃金のデジタル払いを行う口座に賃金を振り込むために必要な情報、受け取り希望額、指定代替口座等の情報も取得することになっています。

 厚生労働省はホームページ上の専用ページ「資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について」をリニューアルし、使用者、労働者、資金移動業者の3つに分けて、それぞれに向けた情報を発信しています。今後、賃金のデジタル払いを検討される際は、まずはこの専用ページを見てみるとよいでしょう。

■参考リンク
厚生労働省「資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について
厚生労働省「資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)における資金移動業者の指定

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。




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基本給、外的報酬、きまって支給する給与、休業補償、降格降職、拘束時間、コミッション制、雇用安定資金を執筆
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第2章「労働時間性」〜
第6章「年次有給休暇」を執筆
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労働・社会保障実務講義
第5講「労働条件 賃金・労働時間」を執筆
第1講「序論 社会保険労務士とは」を共著
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特集1「時間外労働の上限規制」を執筆
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